扶養内ってよく分からない…年収の壁ってどういうこと?分かりやすく教えて!
こんな疑問にお答えします。
この記事を読むとわかること
- 税金上・社会保険上の扶養とは
- 配偶者控除・配偶者特別控除とは
- 年収の壁と扶養の関係
この記事を書いている私は、幼稚園に通う5歳女児の母。扶養範囲内で看護師パートをしています。
この記事を書いている人
- 週1〜2回のパート看護師
- 扶養範囲内で勤務中
(130万円以内/月) - ブロガー・ライター
扶養内で働くって難しく感じますよね。私は20年以上フルタイムで働いていたのですが、お金のことはすべて職場任せ。パートに切りかえたとき全く意味が分からず、自分で調べたり、パート先・主人の会社の経理担当の方に聞いたりして現在に至ります。
結論、看護師が扶養内で働きたいのであれば、年収103〜130万円以内がおすすめです。
なぜなら、103〜130万円以内であれば、
・あなたは所得税を払わなくていい
・あなたは社会保険料を払わずに、ご主人の社会保険に加入できる
・ご主人の所得税が減る
からです。
この記事では、
ご主人:扶養する人
あなた:扶養に入る人
として、扶養内と年収の壁の関係について、わかりやすく解説していきますね。
そもそも扶養内とは?
そもそも「扶養内」ってどういうこと?
「扶養内で働く」とは、「扶養控除が受けられる範囲内で働く」ということです。
「扶養」には税制上と社会保険上の2つの意味があるんですよ
「扶養」の2つの意味
- 税制上の扶養
・住民税
・所得税
・配偶者控除
・配偶者特別控除) - 社会保険上の扶養
・健康保険
・厚生年金
「年収の壁」は、「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つに関係しているんですよ。
あなたの年収の壁 | 税制上の扶養 | 社会保険上の扶養 |
---|---|---|
100万円の壁 | あなたに住民税がかからずに済む上限 | |
103万円の壁 | あなたに所得税がかからずに済む上限 ご主人が配偶者控除を受けられる上限 | |
106万円の壁 | あなたの勤務先で社会保険加入の義務発生 (勤務先の条件による) | |
130万円の壁 | ご主人の社会保険の扶養から外れる上限 | |
150万円の壁 | ご主人が配偶者特別控除を満額受けられる上限 (これを超えると段階的に減額される) | |
201万円の壁 | ご主人が配偶者特別控除を受けられる上限 |
それぞれ詳しく解説していきますね。
【税制上の扶養】に関係する年収の壁
税制上の扶養ってどういうこと?
税制上の扶養とはおもに
・住民税
・所得税
・配偶者控除
・配偶者特別控除
に関するものです。
あなたの年収100・103・150・201万円が関係しますよ
【住民税が発生】年収100万円の壁
住民税は、年収がおよそ100万円を超えると発生します
収入が給与所得の場合、差し引かれる金額は以下の2つ。
- 給与所得控除 55万円
年収から差し引くことができる控除 - 非課税限度額 45万円
(給与所得100万円以内の場合)
給与所得控除は、以下の計算式で求められます。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
162.5万円以下 | 55万円 |
180万円以下 | 収入金額×40%ー10万円 |
360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円以上 | 195万円(上限) |
扶養内なら年収162.5万円以下なので、55万円の控除になりますね
住民税は、給与収入から以下2つを差し引いた所得にかかるもの。
- 給与所得控除55万円
- 非課税限度額45万円
住民税の課税対象
給与収入 − 給与所得控除55万円 − 非課税限度額45万円
= 課税対象となる所得
たとえば、あなたの給与収入100万円だとします。
100万円−給与所得控除55万円−非課税限度額45万円=課税対象の所得0円
なので、住民税は0円です。
ちなみに103万円の場合は、
103万円−給与所得控除55万円−非課税限度額45万円=課税対象の所得3万円
となり、住民税は年間、数千円から1万円程度、発生します。
住民税も払いたくない!という方は、年収100万円以内を目安に働きましょう
住民税は済んでいる自治体に納める税金です。各自治体で税率や金額は異なるので、正確な住民税を知りたい場合は、住んでいる自治体のHPで確認してみてくださいね。
【所得税が発生】年収103万円の壁
年収103万円を超えると、所得税が発生します
所得税は、働いて得た所得に応じてかかる税金で、国に納めます。
収入が給与所得の場合、以下の2つの金額が差し引かれます。
- 給与所得控除 55万円
年収から差し引くことができる控除 - 基礎控除 48万円
そのほか雑損控除・医療費控除・社会保険料控除などが控除され、残りの所得が課税対象になるのです。
ポイント
給与所得控除55万円 + 基礎控除48万円 = 103万円
あなたが年収103万以内で働いた場合、収入から差し引かれる額103万円なので、課税所得は0円ということになりますね!
加えて103万円は、配偶者控除が受けられる上限なのです。
所得税を払いたくない・配偶者控除も受けたいという方は、103万円以内で働きましょう
配偶者控除と配偶者特別控除のちがい
配偶者控除と配偶者特別控除ってなにがちがうの?
どちらもご主人の所得税の減額につながります
配偶者控除・配偶者特別控除とは
配偶者控除
※あなたの年収103万円以下で適用
配偶者特別控除
※あなたの年収103〜201.6万円で適用
※ただし、段階的に減額される
例えば以下の場合、
・あなたの年収が103万円以下
・ご主人の年収が1120万円以下
ご主人は38万円の配偶者控除を受けられます。
あなたの年収 | ご主人の合計所得金額 900万円以下 (1120万円以下) | ご主人の合計所得金額 900万円超 950万円以下 (1120万円超 1170万円以下) | ご主人の合計所得金額 950万円超 1000万円以下 (1170万円超 1220万円以下) |
---|---|---|---|
103万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
103万円超 150万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
150万円超 155万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
155万円超 160万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
160万円超 166.8万円未満 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
166.8万円超 175.2万円未満 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
175.2万円超 183.2万円未満 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
183.2万円超 190.4万円未満 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
190.4万円超 197.2万円未満 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
197.2万円超 201.6万円未満 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
201.6万円以上 | なし | なし | なし |
( )内は給与所得だけの場合の給与などの収入金額
参考:国税庁
ご主人の年収が1220万円以上の場合、配偶者特別控除は受けられません
【配偶者特別控除が減額】年収150万円の壁
あなたの年収が150万円を超えると、ご主人の配偶者特別控除が減額されていきます
上の表にまとめましたが、例えば
・あなたの年収が150万円以上 155万円以下
・ご主人の年収が1,120万円以下
だとすると、
38万円だった配偶者特別控除が36万円に減額
されます。
あなたの年収が201.6万円未満までは、36・31・26・・・万円と段階的に減額されるしくみです。
【配偶者特別控除がなくなる】年収201万円の壁
あなたの年収が201万円を超えると、ご主人の配偶者特別控除がなくなります
先ほどの表にまとめましたが、例えば
・あなたの年収が201万円以上
・ご主人の年収が1,120万円以下
の場合、配偶者特別控除は0円となり、ご主人の所得税負担が増えることになります。
合計所得金額とは
合計所得金額って年収のこと?
私もこのあたり悩みました!合計所得金額は年収ではありません。
合計所得金額とは?
給与所得や事業所得など各種所得の合計金額
給与所得の計算方法は以下の通り。
給与所得の計算方法
給与所得=給与収入(もらった給料)ー給与所得控除
たとえば、あなたのパート給与収入が103万円の場合、
48万円=103万円ー55万円
給与所得は48万円となります。
扶養内での働き方を考えているのであれば、給与等の収入金額は162.5万円以下なので、給与所得控除額は一律55万円になります。
もらった給料から55万円を引けば、あなたの合計所得金額が分かります
【社会保険上の扶養】に関係する年収の壁
社会保険上の扶養って?
社会保険上の扶養とは、あなたが保険料を支払わなくてもご主人の社会保険に加入できる仕組みです。
おもに、
・健康保険
・年金
の2つに関するものです。
年収106万円と130万円が関係します
それでは社会保険上の扶養と各年収の壁の関係についてみていきましょう。
社会保険加入条件【注意!2022年・2024年に変更あり】
社会保険に加入できる条件ってあるの?
週の労働時間が正社員の4分の3以上であれば、パートやアルバイトでも加入対象になるんですよ
例えば、正社員の週の所定労働時間が40時間の事業所の場合、
・40時間×3/4=30時間
となり、週30時間以上のパートやアルバイトでも社会保険加入対象者になります。
この条件に該当しない場合でも、以下5つの要件を満たせば社会保険の加入対象です
社会保険加入条件
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 雇用期間が1年以上見込まれるであること
- 賃金の月額が88,000円以上であること
- 学生でないこと
- 特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤めている
(社会保険の被保険者総数が500人以上)
この条件は、2022年10月から以下の2点が変更になります。
2022年10月からの変更点
- 雇用期間が1年以上見込まれること
↓
雇用期間が2ヶ月以上見込まれること - 特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤めている
(社会保険の被保険者総数が500人以上)
↓
(社会保険の被保険者総数が100人以上)
さらに、2024年10月からも以下の点が変更されます。
2024年10月からの変更点
- 社会保険の被保険者総数が100人以上
↓
社会保険の被保険者総数が50人以上
つまり、今までは500人を超える大企業が対象だった社会保険加入義務が、100人・50人といった中小企業でも適用されるようになり、今まで社会保険料を払わずに済んでいた方も、保険料が発生してくるのです。
社会保険に加入したくない方は、
・労働時間を20時間以下にする
・月額賃金88,000円以下にする
という働き方をすれば、保険料は払わなくて済みますよ
【社会保険料が発生するかも】年収106万円の壁
先ほどの社会保険加入条件のひとつに
・賃金の月額が88,000円以上
がありました。
つまり、1年間に換算すると
88,000円×12ヶ月=105.6万円
となり、年収がおよそ106万円で社会保険への加入義務が出てくるわけです。
これが106万円の壁。
社会保険に加入すると、厚生年金保険料・健康保険料をあなたが支払うことになります。
106万円を超えても、以下3点のいずれかに当てはまるように働けば、社会保険への加入を避けられますよ。
- 労働時間を週20時間以内にする
- 雇用期間を1年未満にする
(2022年10月以降は2ヶ月未満) - 正社員が500人以下の職場で勤務する
(2022年10月以降は100人以下)
単発バイトや派遣など、短時間で働きましょう
【夫の社会保険から外れる】年収130万円の壁
あなたの年収が130万円を超えると、ご主人の社会保険から外れてしまいます
ご主人の社会保険から外れた場合、あなたは
・勤務先の厚生年金保険・健康保険
または
・国民健康保険・国民年金
に加入しなければならないのです。
住んでいる自治体・年齢・前年度の収入などで異なります。
私が自分で支払う計算では、以下のようになりました。
・国民健康保険料:15,000円程度
・国民年金料:17,000円程度
年収130万円を超え、毎月32,000円支払うとなると…
- 主人の社会保険に加入していた場合の手取り
・年収106万円÷12ヶ月=88,000円 - 自分で国民健康保険・国民年金に加入した場合の手取り
・年収130万円÷12=108,000円
・108,000円-32,000円=76,000円
となり、年収106万円よりも手取り額が減ってしまいます。
つまり、
年収130万円を超えるのであれば、年収106万円(月収88,000円)以内におさめる働き方のほうが得
ということになりますね!
130万円を超えてしまうのであれば、福利厚生が充実している正社員で働くほうがいいでしょう
新型コロナワクチン接種業務の収入は扶養範囲外
2021年7月現在、全国各地で新型コロナウイルスワクチン接種が行われています。
このワクチン接種業務にあたる看護師などを確保するため、厚生労働省は以下の特例を設けています。
医療職がワクチン接種業務に従事したことによる給与収入については、収入確認の際には収入に算定しない
引用:厚生労働省 新型コロナウイルスワクチン接種業務に従事する医療職の被扶養者の収入確認の特例について
ただし、対象となる期間は2021年4月から2022年2月末まで。
この期間に、ワクチン接種業務に携わってもらった給料は、収入としてカウントされないという特例です。
ワクチン接種の時給は3000円前後と比較的高め。扶養内でも収入を増やしたいという方にはおすすめです。
2022年の2月末までの特例なので、気になる方は登録してみましょう
年収の壁を理解して、賢い働き方をしよう
今回は、税制上・社会保険上の扶養と年収の壁の関係性について解説してきました。
扶養内で働きたいのであれば、
・あなたは所得税を払わなくていい
・あなたは社会保険料を払わずに、ご主人の社会保険に加入できる
・ご主人の所得税が減る
といった理由から、103〜130万円以内で働くのをおすすめします。
2022年、2024年には社会保険適用範囲は拡大されますが、
・年収103〜130万円以内
・労働時間を週20時間以内
上記2つの働きかたであれば、あなたもご主人も損することなく扶養内で働き続けられます。
もちろん社会保険に加入するメリットもありますので、ご自分やご家庭の状況に合わせ、働き方を調整してみてくださいね。
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